2025/08/15 17:43

頭に浮かんでいるので先に書いておきたいんだけども、

こんなものが自分の手でよくも生まれてきてくれたなと最近思った。

全て自分で作ったのでまた作れと言われたら当然できるんだけども、何か別の自分から見た時にというかそんなことをふと感じた。



世の中にあるものと比べてすごい

ということじゃなくて、当社比的な、

自分比でなんだかこんなものつくって、こんな場所にいてなんかすごい

って思った。

ことを先に書いておきます。





と、そんなわけでAURICの別の革のバージョンができて、写真におさめたらブログに書きたくなったのでここでまとめてみます。


Auric

(オーリック)

新作のリュックで、通常は定番で使っているNEW YORKという革を使ってつくります。


それの革をスペシャル版としてドイツ産のGerman Shrinkを使いました。(シュランケンカーフとも呼ばれます)


このAuricというリュックは、独特のフォルムで、その造形にジャーマンシュリンクの革を使ったら素敵になるだろうなと思っていたので、今回仕上げられて嬉しい気持ちです。




先に載せた真正面からの絵もいいのですが、
横からの雰囲気が特に気に入っています。
通常盤もかなり好きでしたが、この革だとまた違う空気になってる?




シャープさとガチャガチャ感

そのどちらもいいなと思っていて、このAuricではそのどちらの感じも入れることができたように思います。

こっちサイドはガチャガチャサイド。



サイドのポケットのファスナーがあり、そのためのステッチが曲線で引かれています。

ボディ全体が折れ曲がってきており、それを調整するための紐がある。
この紐が編んであるのがまた原始的エッセンスを加えてくれていて、ガチャガチャ度加速です。

シャープに対してこちらは有機的とも言えます。



また逆側に戻ってこちらのシャープサイド。

子供の頃に見ていたプロ野球の(特にピッチャーの)グローブのウェブと呼ばれる箇所が、ツルンと何も加工がされていないタイプがあって、それが妙〜にいいなーと感じていて、その感じをここで表現。

革って極力何も手を加えずツルーっと見せてあげるのが1番いいように思います。
それだけ魅力がある素材ってことなんだと思う。

だけども....



バッグでツルーンってことをやろうとしたら、機能的じゃなくなっちゃうってことにジレンマを感じていました。

しかしそこは横にパターンとしちゃう事で解決!すごい!



ステッチはなるべく無くしたいんだけども、裏表に革張りしてあげたいので二枚重ねして、それを縫い合わせるためにここはしっかりミシンでステッチ。

真鍮製のバックルもヌルっとした形でいい雰囲気。


ここのドッキングは手縫いで強力に。

強さはエレガントに繋がると思う。



ショルダーとハンドル部分
ここは背負った時に意外と目がいく箇所なので実は大事なところ。

でもそれ以上に大事なのは、とっても力がかかる場所という事です。

そんなわけで....


ここの構造は本当にナイス閃きと自分を褒めてあげたいのですが、ちょっとご紹介。



伝わりづらいかもですが、
肩ストラップとハンドルはボディ本体と直接くっついていません。

つっかえになるようなパーツを(ストラップとハンドルに)縫い付けて、そこに力がかかるようになっています。

そうする事で縫製箇所は直接力がかからないので糸がほどける心配がありません。

この力が1番かかるパーツは入念に太い糸で手縫いしているのでとても丈夫です。
かつ、もし何かあった時にも修理がしやすいので、長い目で見ても安心。




続いては中へ。

ポケットは大きなものがひとつ
小さなものがひとつ

大きなポケットの方は豚の革を使って柔らかくかつ軽く。

ちなみにバッグ全体の重さはノーマル版と今回のジャーマンシュリンクバージョンは同じ重さでした。

オーダーしてくれた方の名前を入れました。

オーダーNo.001

これはオーダー主さんからの提案で、シリアルナンバー入ってたら絶対嬉しいって事で、Auricはナンバリングしています。



背中面の様子
色移りもほとんどしないので安心して背負えます。
また水にも超強いので、雨の日もあまり気にせず使えます。

※ファスナーや縫製箇所から浸水はあり得るので完全防水というわけではなく、革自体が水に強いので染みずに弾いてくれるのでシミにもならないよという意味です。


ちょっと見えずらいけど、
Auricの刻印と
Kazuya Fujisakuの刻印を背面に。



ちょうどオーダー主の友人がワークショップに来てくれていたので撮らせてもらいました。
(鏡にboyも写ってるね)

友人はジャケットを着た時やフォーマルな時にも使えるリュックを探していたそうで、このスペシャルバージョンを頼んでくれました。

そして実はこのAuric自体の構造も彼が元々持っていたリュックを見させてもらった時にビビビと来てそれが大きなヒントになって出来上がりました。

長年ドンピシャだと思えるリュックの構造が見つかってなくて試行錯誤を繰り返してきていたのですが、そのピースがピッタリとハマってくれました。


その意味でも彼にはとても感謝です。



ちょっと余談になってしまうけど、オーダー主こと鳥山慶樹くんは普段ブランディングやマーケティングの会社を経営しています。

そんな彼は、僕の革製品やその背景にある思想にとても関心を寄せてくれています。

そのことはとても嬉しい事で励まされているのですが、同時にちょっぴり残念な思い。

それは、なかなかその思想的なところを人にシェアできてないなーと感じることが多いから。

その辺のことを彼にも相談していて、楽しい形でシェアしていけたらいいなと思っております。

こういうブログもそれのひとつになったらいいなと思い書いてみてます。



そんなわけでとっても長くなりましたが、以上紹介でした〜


ありがとうございました!