2021/12/30 11:46

こんにちは藤咲です。

今までほとんどやった事が無かったのですが、革の経年のレポートを書きます。

今回は、最近よく作っている “minim-cordovan-“について。

最初に自分用にと作ったのが2021年9月25日。

そこから本日まで3ヶ月と数日。

この期間での変化の様子をお伝えしようと思います。

こちらが作りたての時のminim。自然光が当たってグリーンの美しい透明感が出ています。

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と、経年変化の様子をお伝えする前に、改めてコードバンという革についておさらいします。

コードバンというのは、一般的に多く使われている牛の革ではなく、馬の革です。

そしてポイントは、馬のお尻の部分という事。

馬のお尻の左右の少しの部分だけがコードバンの層になっており、その部分だけがこの革となります。

特徴としては、とても堅い、艶がある、水に弱い、ひとつの層としてまとまりがある。などがあります。

ザックリと馬のお尻の希少な部分と認識頂けたらなと思います。

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さて本題へ。

左が3ヶ月使用した私物のminim

右が先ほど完成したばかりのminim

この距離の画像ではほとんど違いが分かりません。色の濃さは変化というよりも革の個体差というところ。


上が3ヶ月使用

下は新品のminim

少し寄りで見てみると、上の方は細かい小傷が見て取れます。全体の艶は少し増しているよう。



左が3ヶ月、右が新品


続いて内側へ。

傷などはあまり無いかなという印象。


ホックが来る下の箇所には金具の形の凹みが付きます。刻印は綺麗に残る。


内側にある傷といえばこちら。

ホックを軸にして少しの円回転が起きるようで、それに伴うスレがあります。

ここを見て、北斗七星を中心にして廻る星のよう。と思いましたが、シンプルに傷です。笑

コードバン特有の硬さがもたらすものだなと思いました。(通常の牛革で作ったminimではこれはつかない。)

また内側なので、手の脂の接触も表面に比べて少ないのも影響しているなと思いました。



ホック自体はとても綺麗なまま。

こちらはmade in Italyのホック。

本物の金がメッキされたものなので、かなり強いです。地金自体も真鍮が使われているので、かりに生地が出てきたとしても味わい深くなるかなと思います。

(このタイプのホックはいろんな作品に使っておりますがほんとうに頑丈です。)


続いて側面。
こちらはほとんど変わらず。
3ヶ月使用の方が少しだけ色が濃くなっているかなというところ。



そしてお札を入れる内側の部分。
ここが僕の中ではかなりポイントで、先ほどの側面同様、コードバンはひとつのまとまった層で構成されているので、裏側や側面が非常に締まっていている印象があります。
なので、お札を入れるこのポケットの滑りがとてもいい感じがします。

使用していると時もスムーズな出し入れができるので、とても心地よいです。

人間の手というのはとても微妙な感覚を認識できると聞いたことがありますが、お札から伝わる革の内側の感触、そんなものも、このコードバンの魅力なのかなと思います。
(ちなみにコードバンにもいくつか種類があって、表面を顔料で仕上げるものと、ここで使っているような透明感ある仕上げをするものとがあります)
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3ヶ月ほど使っていてのまとめの感想ですが、小傷がついても全体の艶が失われることはなく、むしろ馴染みが出てカッコよくなっているなと思いました。

また、使い始めてすぐにワイヤーを引っ掛けて少し強めについてしまっていた傷があったんですが、そこはいつの間にかほとんど目立たなくなっていました。オイルを含んだ革特有の修復能力と思われます。

先程触れた内側のスムーズさなど、使い勝手もかなりいいなという印象です。

唯一気になると思う点は、カードを出し入れするのでカード同士が擦れて傷が付いてしまうところがあるところ。個人的にはほとんど気にしていませんが、もしカード自体の綺麗さを求める方はminimの構造を避けておいた方がいいかもしれません。

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比較しての経過報告は以上となります。
minim自体の使い方や、ここが使いやすいなどについては、前に撮った動画がありますのでよかったら参考にしてみてください。


また、もう少し期間が経ってからの変化の様子などもお伝えしていけたらなと思います。

ありがとうございました。

minim -cordovan-

https://www.kazuya-fujisaku.net/items/57336788